写真はある公共施設のA4変形、4ページのリーフレットの仕事を入稿するまでに使った紙の束です。提出したものを含めるとさらに増えます。たったひとつのリーフレットを作るのにかかる手間は、おそらくユーザーが想像するよりも遥かに膨大です。地方の現場では発注者ですらその意識をもっていない場合も多いです。
報酬から出力代などの費用を引き、仕事を終わらせるのに掛かった時間で割ると、多くの仕事は300円以下です。つまり時給300円以下。残念なことに、多くの公共のグラフィックのちょっとした仕事はその程度です。
しかし、安いからと断ると多くの場合は印刷会社へ仕事が流れていきます。するとグラフィックとはかけ離れた、質の悪いものが量産され、グラフィックデザイナーにとっては悪夢のような状態となります。質が悪い問題はグラフィックの印象を下げるという、負のスパイラルをも生み出します。
一方で、安い仕事を受けるグラフィックデザイナーにも確実に問題はあります。この問題に対して今後きちんと向き合わなければ地方の紙を媒体としたグラフィックの質はますます低下し、相変わらずの東京頼みの文化レベルと認識されたままでしょう。自分がそんな問題に対して向き合う役割を担う年齢になってきたのだとも思います。そろそろ人任せにはできません。
そんなことを紙の束を前に思いました。